フィラリア(犬糸状虫)症の予防シーズンが始まります。
桜も満開で穏やかな日和が続いていますので、今年はお花見が長く楽しめそうですね。暖かくなってくると心配なのがフィラリア症です。フィラリア症はワンちゃんがメスの蚊に吸血されることで感染します。フィラリアの寄生しているワンちゃんから血液を吸血する際に、血液と同時にミクロフィラリア(幼虫)を吸入し、蚊の体内で約2週間ほど成長します。その成長した幼虫を持った蚊に吸血されるとワンちゃんの体内に幼虫が移動します。その後ワンちゃんの体内で成長し、約6か月で成虫に成長し、ミクロフィラリアを産むことができるようになります。
フィラリア症の感染初期はほとんど無症状ですが、感染が重度になるにつれて咳が出たりや呼吸が速くなったり、運動を嫌がるといった症状が現れます。さらには腹水でお腹が膨れてきたり、喀血(血を吐く)などの症状も見られます。
「大静脈症候群」といって、フィラリア虫体が心臓内に侵入すると、三尖弁(右心房と右心室の間にある弁)を行き来することで重度な血液の逆流が生じる状態が起こります。急激に全身状態が悪化し、生命の脅かされる危険な状態に陥ります。
(動画)心臓内の部屋を行き来しているのがフィラリア虫体です。この場合、心臓内のフィラリア虫体を取り出す緊急手術が必要になります。
このような状態を引き起こさないためにフィラリア症の予防は必ずしてあげて下さい。通常、予防時期は蚊が発生する時期の1か月後から開始し、蚊がいなくなった月の翌月まで続けます。亀岡市、南丹市、京丹波町など南丹地区では5月から12月までの予防が必要になります。当院では飲み薬(錠剤、チュアブル)、滴下剤、注射薬をご用意しております。ワンちゃんの性格や生活環境にあったタイプの予防薬を検査後に処方しますので、5月までにワンちゃんと一緒に当院にご来院下さい。